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は既に目を通していただけたと思いますけれども、その中で、今後の青年の家の運営を改善するために三つの大きな柱を掲げて、改善策を提言しております。こういったものもぜひ参考にしながら、それぞれの施設の運営改善に努めていただきたいと思っているわけであります。
また最近、つい最近のことですが、4月の24日に私どもの生涯学習審議会からの答申もまとめられました。そこでは、いろいろな学習活動を提供する機関を四つに分けまして、それぞれがどういうことをしなければいけないかということを提言しております。
四つといいますのは、一つは、大学をはじめとする高等教育機関ですね。高等教育機関はもっと社会に開かれて、社会人を大勢受け入れなければいけないということを言っております。
二つ目は、小・中・高等学校でありまして、小・中・高等学校はもっと地域に根差した、そして地域といろいろな形で交流するような場にならなければいけないということを言っております。
三つ目は、社会教育、文化、スポーツ関連の施設であります。青年の家はその範疇に入ると思いますけれども。そういうところでは、本当に地域の住民、住民といっても若い人から高齢者までいますけれども、地域の住民のニーズにこたえるような活動を積極的に展開すべきだということを言っております。
四つ目のカテゴリーは、文部省以外の各省庁が所管している、あるいは企業が持っている研究施設とか研修施設であります。これらは本来の教育施設ではありませんけれども、しかし、そこにいる人、そこにある設備などは、いろいろな学習活動に役立てることができる可能性を持っています。そういう施設においても生涯学習という立場からいろいろな事業を展開して欲しい、こういうことを提言しているわけであります。
ぜひこういった生涯学習審議会の答申も参考にしていただきたいと思っております。先ほど内田所長から、青年の家ができたころの高校進学率が50数%、現在は90数%、こういうご紹介がありましたけれども、進学率が高まるということ自体は大変結構なことでありまして、それによって国民全体の知的能力が高まるはずなんでありますけれども、しかし、その反面進学率が高まることによって、かえって子供たちがいろんな生活体験、自然体験を積み重ねながら学んでいくという場面が減ってきた。そして、いろんな問題が生じているこれは大変皮肉なことであります。
学校教育の拡充発展には、こういう両面があるわけで、そういう現状を踏まえた上で、これから学校外の活動をもっと強化していく必要があると思います。そのときに、学校教育は学校教育だからあちらで、学校外の活動は学校外だからこちらで、向こうは向こうで担当者がいる、こちらはこちらで自分たちだけでやる、こういう発想ではいけないと思うんですね。対象となるのは同じ子供たちなのですから。ですから、もっと学校側とそれから学校外の、いわゆる社会教育の側とが手を携えて、いろいろなことを一緒に企画していく必要があると思うんです。
青年の家の場合もまったくそうでありまして、ただ利用者が申し込んでくるのを待っているだけではなくて、学校の関係者と一緒になって何か新しいプログラムを開発するとか、既に皆さんやっておられると思いますけれども、そういうことをもっと積極的に進めるべきではないかなと思うんです。そうすることによって、青年の家を学校教育の場として活用することもできますし、また子供たちの指導に当たる、こういうこともできるわけです。社会教育の関係者が学校に出かけていって、今、特別非常勤講師という制度がありますから、学校の教員でなくても、子供たちをいろんな形で指導することができるわけです。そういういろいろな可能性がありますので、学校教育の側とどうぞ一緒になって、いろんな工夫をしていただきたいと思います。
そういう両者の連携は、昔から「学社連携」と称しておりましたけれども、なかなか学社連携が進まなかったのが実情でありまして、最近はそれをもっと進めようという気持ちから、「学社融合」というような言葉も使っております。
この会議では、いろいろな方の講演、それからグループに分かれての皆さん自身によるディスカッシ

 

 

 

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